さて南アのムベキは今タイヘンな事になっている。ムベキは以前に同じANC党内のズマを副大統領の座から追放した。ズマに汚職容疑があったためだが、数日前ズマの容疑が晴れた(ズマの汚職事件追求は「政治的なもくろみだから」という理由でズマはさらなる追求を免れることになったのだが、そんな理由でヨイのだろうか、ヨクあるまいというわけで、国内で議論をよんでいる)。そこで、ANC党内のズマ派がムベキに大統領の座から引退するように要求しているのである。ちなみに、ズマはANCの党首であり、次期大統領候補(ほぼ確実に大統領)。ズマ派は来年の選挙を待たずに、ムベキを追放してしまいたいようだ。ムベキよ、ジンバブエ仲介に力を注いだのは、ジンバブエに逃げるため?なんて思ってしまうタイミングだ。
と、ここまで9月21日に書いておいたのだが、実は21日にムベキ大統領はANCより辞任をせまられ、辞任。あらあらと言う間に、23日にはムベキ派大臣たちが続々辞任。辞任した大臣には、南アフリカ民主化以後国内経済を盛りたてるのに寄与した大蔵大臣マヌエルが含まれていて、この点、現在も南ア経済を大きく支配する南ア白人には大問題。私がいつも聞いているクラシックFMは、南ア白人の中~高所得者向けのようで、DJやゲストのほとんどが白人(クラシックは、黒人住民の間でも人気で、有名な黒人オペラ歌手もたくさん出ているのだが)。マヌエル辞任のニュースは23日ずっと大きな話題で、あるDJ(白人)は「さて、マヌエルが辞任!あなたはどうする?オーストラリアへ移住する準備をする?」などと半分冗談、半分本気なようすでコメントしていた。ここのところ、南アフリカ政府に対する不信が(特に)白人住民の間で高まり、オーストラリアやニュージーランドへ移住する白人住民が増加している。アパルトヘイト時代には白人ビジネスは政府に保護されていたから、その保護が無くなり、黒人ビジネスの擁護が盛んになった民主化以後、南アフリカ政治に見切りをつける白人住民が多いのだ。マヌエルは白人で、ある程度は白人経済を擁護していたきらいがある(白人経済を保護しないと国家経済が崩壊してしまう可能性がある、、、ジンバブエのケースのように)。しかしとってかわったズマ政権は、白人・黒人融和のムベキと比べると、黒人優先主義の色が濃厚(いちおう、公式にはムベキと同じく現在の経済システムを保護するとしているが)。今後の南ア経済については、ズマ率いるANCがどう動くかでかなり変化する可能性もある。
それにしても、ムベキの辞任はあっさりしていた。ジンバブエだったら、暴力と経済不況と、、、と国中が大騒ぎになるような動きだけれど。実は、2期つとめたムベキ大統領は憲法を改正して、大統領に再出馬するつもりだった(現在のところ、大統領は2期まで。ムガベもこのように憲法を変え、延々と大統領の座についていた)。再出馬がANC内でストップされたところは、民主的といえば民主的かも。でも、ズマの汚職容疑に対する訴訟が取り消された点はどうなのか。私が夫に、「ズマは汚職した可能性が高いんだよね。それで訴訟もされないってどういうこと?」と尋ねると、ズマを副大統領の座から追放したムベキも何らかの汚職ははたらいているんだから、訴訟するならANC高官のほどんどが訴訟されるべきだという。つまりANC自体がダメってことなのだが、南アでは、数々の政党が合体してできたこのANC、ジンバブエのZANU-PFかそれ以上に権威が強くて、別の政党が与党になれば?なんて事態は、今のところはありえない。汚職していようが、何があろうが、ANCでなければダメなのである。だから、ズマにどんな背景があったとしても、次期大統領と決まっているというちょっとハテナな状況で、国内でも数々の批判が出ている。なにはともあれ南アフリカはアフリカ大陸におけるビジネス拠点だから、外国にとって重要なポジション。今後のズマ政権に、世界が注目している。
ちなみに、マヌエルは大蔵大臣として再指名された。ラジオでも、「これで、南ア経済に対する信用が少し保たれた」としきりに騒いでいた。マヌエルがんばれ!低所得者対策をもっとがんばってー。民主化後、所得差が拡大してきている南アフリカだ。
