ここ数週間、南アフリカ全国やストライキが起きている。ブログで報告したW杯スタジアム建設労働者のよる賃上げストライキの他、政府関連施設職員、、、病院、自治体、公共交通機関など、、、による賃上げストライキが起きている。また、低所得者住宅地、特にインフォーマル住宅地(許可無しに掘っ立て小屋などが建設された住宅地)にて政府に生活水準向上サービス(上下水道、電気の付設など)や仕事を要求するデモが起き、デモ鎮圧の為の警察と衝突してゴム弾丸が飛び交うといった状況である。デモの怒りと興奮が、外国移民住民に対する暴力に発展した住宅地もある。市長の自宅に放火した地区もあった。

イーストラント(ハウテン州)のソコザ地区住民による、サービス改善(上下水道、ゴミ収集など)を訴えるデモ暴動。低所得住民がアパートや掘っ立て小屋に住む。デモに参加したのは無職の若者が多いという。(Photo&Story: SABC News)
今、南アフリカは冬の季節(6月ー8月ごろまで)である。昨年の外国移民襲撃事件も、寒い冬の季節に起きたなあと思う。南アフリカの寒い季節には、アフリカといっても暖房が必用なくらいに冷え込む。日本の冬と比べれば全く温暖な冬なのだが、こちらに数年間暮らすと、他の季節と比べてかなり寒いので、冷えるなー!と思う。住民は毛糸の帽子、マフラー、コート、ブーツ(女性)で完全防備している。多くの住宅地では電気が普及しているから、住民は電気暖房を屋内で使用するのが普通である。しかしインフォーマル住宅地には電気や上下水施設が無いから、住民は薪や石炭を燃やしたり、時には古いタイヤを燃したりして料理をしたり暖をとったりしている。とは言っても住いは掘っ立て小屋だから十分に暖はとれないだろうし、仕事が無いから働き盛りの男女が一日中住宅地でウロウロし、小銭が入れば暖をとるのを口実にお酒を昼間から飲むことにもなるだろう、、、私の近所のインフォーマル住宅地の住民が、いつも安酒を買っているのを見る。こうなれば住民の間で興奮とストレスが高まり、デモにもなるのかなと思う。
政府関連施設の職員によるストライキは、15%ほどの賃上げを要求するもの。これらの施設で雇用される職員には、清掃員、ゴミ収集職員など技術レベルは低いが日常生活に欠かすことのできないサービス従事者たちが多くいて、多くが低賃金である。ビデオでも見られるように、今回のストライキでこれらのサービスが停止し、ストライキ参加者はデモンストレーションのために通りにゴミ箱のゴミを放りなげたりしている。また、実際の仕事をする職員と、トップマネージメントレベルの職員の賃金差が大きいのも不満のひとつだろう。更に、ビデオで組合長がコメントしているように、マネージメント職員にはしばしば数10%の昇給が与えられる(自分たちで給料を決めることができるので)のに、一般職員の昇給は今回のような大がかりなストライキをしても10%台にとどまる。

自治体職員ストライキによって散在されたゴミ箱自治体職員ストライキによって散在されたゴミ箱(photo: SABC News)
今回のデモやストライキが全国で比較的大規模に起きている原因には、世界不況の影響で失業率が南アフリカでも高くなっている事実もある。物価上昇も未だ続いている。さらにさらに!こんなにタイヘンな経済状況下、今年大統領となったズマ氏が、『新たな就職先50万件を創出する!』とスピーチで述べたため、国民の政府への期待と要求が高まっているようだ。50万就職スピーチの後数か月たったが、不況で失業者が増加するニュースは聞くけれど、仕事先が増加したニュースは聞かない。かわりに、新政府が新しい省庁をつくったので経費が重むとか、新大臣/政府高官が新しい公用車に1億円2億円使ったとか、不況なのに政府の出費が大きい!というクレームが野党から出ている。これが毎日のように新聞やニュースで報道されるから、一般住民も仕事くれ!賃上げしてくれ!と言いたくもなるだろう。
1994年の民主化後、南アフリカ国内経済は成長と発展を遂げ、中産階級黒人の数と財力は増加した。その一方で、低レベル教育(南アフリカの公共教育システムはかなり低レベルにとどまっている)と高い失業率が蔓延する低所得住民の間では、経済発展の恩恵をほとんど得ることが出来ていない、政府は我々の声、、、生活水準の改善と、仕事を!、、、を聞いてくれないという意識が高まっているようだ。民主化後、黒人にも経済チャンスは与えられたが、チャンスにありつくことができたのは小数の黒人住民のみで、その他は低所得にとどまっている。更に、民主化以前と比べて、南アフリカ住民の所得格差が拡がっているという意見も多く聞かれる。南アフリカで2年間暮らしてみて、この点を毎日の生活から実際に感じることができる。今後、南アフリカの所得格差の中、住民がどのように生活しているのか、何を感じているのかレポートしていきたい。


